精油ってなに?

3本のエッセンシャルオイル

精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花や葉、果皮、種子など様々な部位から抽出された芳香物質です。

人工的なものは含まれず、植物から抽出された100%天然のものをいいます。

なお、精油には「油」という字がついていますが、オリーブオイルのような油脂ではありません。油のように水の表面に浮くことから、こう名付けられたそうです。

精油の3つの特性

  • 芳香性(強い香りを放つ) 
  • 揮発性(空気中に放置すると蒸発)
  • 親油性、脂溶性(油に溶けやすく、水には溶けにくい)

精油は高価!?

エッセンシャルオイルのイメージ

精油をはじめて購入しようとしている人のなかには、「量が少ないわりに値段が高い…」などと思った人もいるのではないでしょうか。

精油のなかには植物の成分が濃縮されています。1滴の精油を得るために、植物をたくさん原料として使わなければならないために高価なのです。

しかも、芳香成分の含有量は植物によっても異なります。含有量が多いものはよいですが、含有量の少ないものほど大量の植物が必要になります。そうした植物の精油はさらに値段が高くなるのです。

たとえば…、ローズの精油を1滴採るのにバラの花びらがおよそ1000枚必要ともいわれてます。たった1滴(0.05ml)を得るために貴重なバラの花びらが1000枚も必要なわけです。高いわけですよね…。

精油は植物のどこから抽出する?

レモンバーム(メリッサ)

精油の抽出に使用する部位は、植物によって様々です。たとえば、カモミールは花、ローズマリーは葉、グレープフルーツは果皮から精油を抽出します。

利用される部位ごとに、精油によく使われる植物をまとめてみました。

イランイラン、カモミール、ジャスミン、ネロリ、ヘリクリサム(エバーラスティング)、ヤロウ、ラベンダー、ローズ・オットー
クラリセージ、サイプレス、シトロネラ、シナモン、ゼラニウム、タイム、ティートリー、ニアウリ、バジル、パチュリー、パルマローザ、プチグレン、ペパーミント、マジョラム・スイート、マートル、メリッサ、ユーカリ、ラバンサラ、レモングラス、ローズマリー
果皮
オレンジ・スイート、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、ライム、レモン
果実・種子
アニス、カルダモン、キャロットシード、コリアンダー、ジュニパーベリー、フェンネル、ブラックペッパー
木部
サンダルウッド、シダーウッド、ローズウッド、
ジンジャー、ベチバー

どうやって精油を抽出するの?

レモンの果実

精油の抽出部位が植物によって変わるように、その抽出方法も一様ではありません。抽出するものの特徴に合わせて最適な方法で抽出するわけですね。

たとえば原料が同じ植物でも、抽出方法によって精油の呼び名が変わるものもあります。

同じローズを使用していても、水蒸気蒸留法で抽出されたものはローズ・オットー、溶剤抽出法で抽出されたものはローズ・アブソリュートと呼ばれて区別されています。

精油の抽出には、主に次の3つの方法が用いられています。

水蒸気蒸留法

精油の製造に多く利用されているのが、水蒸気蒸留法です。原料となる植物を蒸留窯に入れ、下から水蒸気を吹き込んで蒸し、芳香成分を気化させます。

この気化した水蒸気は冷却器を通って冷却され、液体となって容器にたまります。そして、液体の表面に浮いている芳香成分を集めたものが精油です。

精油を取り除いたあとに残った蒸留水にも、植物の芳香成分がわずかに溶け込んでいます。これはフローラルウォーター(芳香蒸留水)と呼ばれ、化粧水や入浴剤などに幅広く利用されます。

圧搾法

オレンジ、グレープフルーツなど柑橘系果実の果皮を器具で押しつぶして精油を採る方法です。ローラーや遠心分離機などで果皮を圧搾します。絞り出された液体の表面に浮いているのが精油です。

圧搾法では熱を加えず精油を抽出できますので、その植物の自然のままの香りを楽しめます。その反面、この方法では不純物が混じりやすく、品質の劣化が進みやすいといわれています。

溶剤抽出法

ローズやジャスミンなど繊細な花の精油を得るために用いられる方法です。石油エーテル、ヘキサンなどの揮発性溶剤を原料となる植物と一緒に溶剤窯に入れ、植物の芳香成分を常温で溶かし出します。

このとき、天然のワックスなども一緒に溶け出し、溶剤を揮発させ取り去るとコンクリートという固形状のものが残ります。さらに、アルコール溶剤を使用して芳香成分のみを溶かし出し、溶剤を揮発させて得られるのがアブソリュートと呼ばれるものです。

繊細な香りの抽出に適していますが、溶剤が少し残ってしまうことがあるともいわれています。

精油の抽出方法にはこのほかにも、超臨界流体抽出法、油脂吸着法などの方法があります。超臨界流体抽出法は新しい方法ですが、装置が高価なため一般的とはなっていません。

油脂吸着法は溶剤抽出法以前に繊細な花の精油を得るために利用されていた方法で、現在ではほとんど利用されていません。

代表的なエッセンシャルオイル